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丹沢の中核に位置する蛭ヶ岳はどこから登ってもアプローチが長く、日帰りで登るのはかなり難しい。 丹沢の日帰りコースはもう殆ど歩き尽くしたと言っていいが、主稜といわれる蛭ヶ岳から檜洞丸は手を出せずにいた。 そしていつか挑戦してやろうと考えていた。
土曜に寝過ごしたので日曜に早起きして、新宿発 5:31 の急行で渋沢に向かう。 渋沢でのバスの接続は良かったが、混雑していてずっと立ちっぱなしだった。 7時過ぎ、大倉バス停から歩き始める。空の低い位置に居待月が見えた。 家を出た時はまだ満月に近い感じだったと思ったが、有り明けだとずいぶん欠けて見える。
大倉尾根は前に1度登っているが、単調で長い登りが続く。 標高差もここだけで 1000m 以上あるが、丹沢山塊への最短コースだ。 山の家を過ぎたところにキャンプ場があった。ここより上はキャンプ禁止区域になる。 花立には9時前に着いてしまった。ここで朝食にする。富士山がうっすら見えていたが、食べてる間に雲で見えなくなってしまった。
ここまで来ると塔ノ岳はすぐだ。山頂には 9:40 に着いた。 山頂は多くの登山者で賑わっていた。以前登った時は岩だらけの山頂だったが、階段状に整備されてすっかり様変わりしていた。 そのせいか前よりもずいぶん狭く感じられた。
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賑やかな山頂を早々に後にして丹沢山に向かう。 展望が良い尾根道で、紅葉はまだ始まったばかりのようだ。 一度下って登りにかかるところで、あろうことかバテてしまった。 それほどきつい登りでもなく、以前登った時は何とも無かったと思うのだが、ハイペースで一気に登ってきたせいか体力が続かない。 途中で腰を下ろして休みながら登った。
10:35 やっと山頂に着く。ベンチが埋まっていたので枯れ草の上に荷物を下ろして座り込んだ。 靴を脱いで横になると気持ちがいい。雲間から青空が見える。 早起きしたせいか眠くなった。さっきから気分も良くなかったので少し寝ることにする。
11:15 寒くて目が覚めた。まだ先は長くそうそうゆっくりもしていられない。蛭ヶ岳を目指して出発する。 ここから先は初めて歩くコースだ。見通しの良い急坂を下る。 これから進む稜線が一望できてとても気持ちがいい尾根だ。 下り切ると笹原の登りになった。少々ガスって来たようだ。 ピークを越えると不動の峰の休憩舎に着いた。水場まで20分の標識があったので、荷物を下ろして下ってみる。 10分ほどで水場に着いたがちょろちょろ流れていて汲めそうもない。 そばにあったペットボトルの切れ端を樋にして汲んでみると土混じりの水だった。 それでもティッシュペーパーで漉して水筒をいっぱいにした。 コースに戻って出発。ゆるいアップダウンが続く。 鬼ヶ岩に着くとそこから先は崖のようになっていた。急斜面に鎖がついている。 尾根を目で辿ると蛭ヶ岳が見えても良さそうだが、次々と湧いてくる雲で下ってゆく道しか見えない。
急坂を下りて尾根伝いにひと登りすると蛭ヶ岳山荘が見えた。 工事のため閉鎖中だ。小屋のすぐ横が山頂である。 13:03 霧に包まれた山頂には鳩が1羽いるだけだった。ヘリで持ってきた工事用の木材などが置いてある。 大きな椅子に荷物を下ろして昼食にした。 珍しく持ってきたビールを開けると爆発してしぶきが飛んだ。 お湯を沸かす時間が無いので、朝の残りのおにぎりを食べて出発。 かなり頑張らないと最終バスに間に合いそうにない。
臼ヶ岳に続く、主稜のコースを進む。 山頂からは急降下で狭い道が続く。振り返ると山頂はもう霧の中だった。 崩壊した痩せ尾根や梯子を慎重に下りる。 たまに薮でがさがさ音がしたが、鹿がいたのだろう。遠く鳴き声も聞こえたりした。 13:58 臼ヶ岳に着く。展望が無い山頂のベンチに座って水を飲んだ。 このペースなら、檜洞丸に3時半に着けばバスに間に合いそうだ。ここからのコースタイムは2時間だ。
臼ヶ岳からまた一気に下り、神ノ川乗越に着いた。地図には乗ってないが水場の標識がある。 時間の余裕は無かったが、行ってみることにした。遠かったら途中で引き返せば良い。 笹のトンネルのような細い道を下ってゆく。枝が中途半端に払われていて、顔に当たって痛い。 5分ほどで枯れ沢に着いた。水は無いようだ。上流へ少し歩いてみたがだめだ。 戻って下流へ少し行ったところに水が湧いていた。 水たまりから水をすくって飲むと少し元気が出てきたようだ。 元のコースに戻り、坂道を登る。
ピークを2つ過ぎるとコースは荒れ、1300m まで下るとそこから檜洞丸までの急登が始まった。 標高差 300m。100m毎に休むことにして急斜面をジグザグに登る。 途中、あまりに辛くて立ち止まる。とにかく無事に帰れればそれだけで良かったが、順調に高度は上がっていった。 2度目に休んだあたりから斜面がゆるやかになった。山頂は近いかもしれない。 気力を振り絞って歩いていると青ヶ岳山荘が見えてきた。 てっきり山頂かと思ったが、山頂まではもうひと登りだった。
15:24 檜洞丸山頂。何とか予定通りに着いてしまった。 蛭ヶ岳を下りてからここまでついに誰にも会わなかった。 賑やかな丹沢もその奥深くはとても静かだ。 水を飲んでチョコレートを食べたら少し元気が出た。あとは一気に下るだけだ。 帚沢方面に向かって下ると、植物保護のための木道になった。 霧の中、誰もいない木道はいい感じだ。でもここまで来るのが大変なんだなこれが。 スピードを出していたら途中でつまづいてしまった。 石棚山との分岐点でツツジ新道に進む。西丹沢までもう 5km もない。 どんどん急傾斜になり、調子に乗って飛ばしていたら浮き石に右足を取られ、内側にねじってしまった。「痛い!!」激痛が走り、その場に座り込む。先月羅臼岳で捻挫したところが完全に治っていなかったようだ。 同じ場所をやってしまった。 しばらく横になっていると痛みは引いてきた。何とか歩けそうだ。 かなり痛かったのでもう一度捻るとやばいかもしれない。 気を付けながら、それでもできるだけ急いで歩いた。途中に展望台があったが寄らずに歩いた。
急いでいるのだが思ったほど高度が下がらない。 バスの時間が近くなってくると特にそう感じられる。 やっとゴーラ沢を渡る。ここからバス停まで35分。何とかぎりぎりには着けそうだ。 5時直前に車道に合流した。 西丹沢のバス停に着くと多くのハイカーが 5:15 発の最終バスを待っていた。