利尻岳


EOS-1,28-70/2.8,F8AE,RVP,PL,961011
長官山付近から見た利尻岳

位置
北緯45°10' 東経141°15'
標高
1721m
地図
天塩/利尻島/鴛泊
交通
稚内港からフェリー(1日3便)
ガイド1
島全体が一つの山を形成。噴火で出来た円形の島である
ガイド2
現在は利尻山、利尻富士とも呼ばれる
区分
日本百名山,花の百名山
宿泊

961011

日本最北端の宗谷岬から稚内方面の南側に高い山が見える。何という山だ ろうと思ってよくよく考えると海の向こうの利尻山であった。

ガイドブックに載っている国民宿舎は2軒ともホテルに変わっていた。役 場で民宿を紹介してもらったが鴛泊の民宿は4軒とも休業中で沓形の民宿に何 とか予約ができた。


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フェリーで鴛泊に着きバスで沓形に向かう途中、日本海に夕陽が沈んだ。 空気が澄んでいるので水平線近くなっても眩しさが衰えない。反対側を見ると いつの間にか雲が消えた利尻山が茜色に染まっていた。頂上付近はだいぶ雪が 積もっているようだ。

民宿で天気予報を見ると明日は天気が良さそうだ。山に登ることにして早 出することをお願いすると宿には登山届が用意してあった。このところずっと 天気が悪くて、これだけ晴れたのは久しぶりだそうだ。

翌朝、5:10 出発。海抜 2〜3m の地点から頂上を目指す。登山口がある5 合目の見返し台まで車道を歩く。1時間ほど歩いてあと 2km くらいというと ころで旅館のワゴン車に拾ってもらった。若い夫婦と思われる登山客が2人乗っ ていた。見返し台でトイレを済ませてから登山道に入る。

登り始めは岩だらけの道だが傾斜は緩やかだ。樹木に遮られて展望はない。 6合目を過ぎて避難小屋の手前で展望が開ける。眼下には海が広がっていて沓 形の町が小さく見える。礼文岩というのがあってその上に立って見ると礼文島 がすぐそこにあった。

駒犬の坂のあたりを過ぎると雪道になった。たいした積雪ではなかったが 新雪に足跡を残しながら登っていく。樹氷のきれいなところを選んで水筒に入 れた。氷はなかなか融けなかった。三眺山のピークに着いた頃はすっかり雪 山だった。雲の中に入ってしまって展望はない。小休止し持っていたパンを食 べるが寒くて長くはいられなかった。

ここから鴛泊ルートとの合流点まではコース一番の難所であった。まず鎖 で岩場を垂直に降りる背負児落とし。岩に雪がついているので足を滑らせない よう慎重に下った。

斜面を巻くように登る。狭い道で潅木が体に当たって邪魔だ。本格的な登 りになりそうだったのでアイゼンを付けた。足が滑べらなくなって具合がいい。 鴛泊コースと合流する手前の崩落現場に着いた。岩が大きく一応ルートも確保 されているので心配するほどではなかった。慎重にトラバースする。ところど ころに着いている目印を見逃さないよう無事本来のルートに復帰。

ここからあとひと登りで山頂のはずだ。鴛泊コースとの合流地点で、降り てくる人と会った。ここから踏跡もあるしもう道を間違う心配はなさそうだ。 雲は晴れて稜線上から見る眺めが素晴らしい。ところどころ滑べりながらも1 歩ずつ登っていった。崖の向こうには切り立った岩が見える。新雪で白く輝く 様子を見ると今にも崩れてきそうだ。

1時間も登らないうちに山頂に着いた。社がある。荷物を下ろして軽く食 事をする。ガスは荷物になるので稚内のコインロッカーの中に入れてあったが、 持ってくればよかったなと思ったりする。雲は眼下に流れていて、その切れ間 から海が見えた。手ぶらで南峰を目指すことにする。


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雪が積もっているのに加えて、かなりの難コースだ。踏跡が無いのでコー スがよくわからない。尾根を伝ってやっと歩く。左右は崖になっていて下を見 ると恐くなるほどだ。そのまま海へ続く斜面は実に雄大だ。向こうに礼文島が 浮かんでいる。右側には北海道の北西岸がなだらかに続いていた。

結局、半分くらい行ったところで断念。ここからの急斜面は下る自信がな い。ピークに腰かけてひとやすみした。日差しは心地よかったが、風と雪が冷 たい。我慢できなくなった頃に引き返した。神社には登ってきた人が何人かい た。余裕をもって山を下ることにした。

鴛泊コースは、とても歩きやすかった。沓形コースと比較して眺めも良い。 ずっと海に向かって下りて行く道はとてもいい気持ちだ。避難小屋を過ぎて、 長官山でひとやすみした。ここから見る利尻山も迫力がある。雲が切れるのを 待って写真を撮ろうとカメラを構えた。次から次へと湧いてくる雲はなかなか 切れ間がない。それでも何枚か撮っているうちに雲がほとんど無い写真が撮れ た。今は山頂からの眺めも素晴らしいに違いない。

見晴台を過ぎると樹林帯に入り、見通しが悪くなった。下っていくと甘露 水に着いた。先客がいたので挨拶して、水を汲んで飲んだ。伏流水は冷たくて 美味しかった。

麓の登山口に着くと、公園の造成中だった。民宿に電話しておばさんに無 事に下山したことを告げた。