雲取山


EOS IXE,EF28-70/2.8L(45mm),F8AE(1/90),RX,PL,970713
位置
北緯35°51' 東経138°57'
標高
2017m
地図
甲府/三峰/雲取山
交通
JR奥多摩駅からバス
ガイド
東京都の最高峰であり奥多摩の名峰。一等三角点が有り展望に優れる
埼玉・山梨県との県境
区分
日本百名山

970713

奥多摩の奥深くにある雲取山は、アプローチが長く不便なために今まで登らずに残しておいた山のひとつだ。 コースタイムが10時間ほどになるため、どのガイドブックも山小屋1泊のコース設定になっている。 最初は秩父に泊まって三峰から縦走して奥多摩に下りる予定だったが、天気があまり期待できなかったので、奥多摩から登ることにした。

5:50 家を出る予定だったが寝坊して目黒駅に着くのが2分遅れた。 この2分のため、登山口の鴨沢バス停に着いたのが1時間遅れの 10:00 になった。 「頂上2時。だめだったら途中で引き返す」という予定で登り始める。 学校の裏手を通って山道に入ると途中で雨が降り始めた。ここは山梨県だ。 傾斜はそれほどきつくない。 いいペースでどんどん高度をかせぐ。11:00 水場に着くと、3人の登山者が休んでいた。 みな重装備なので山小屋泊まりなのだろう。 9時すぎに登り始めたそうで、1時間分追い付いたことになる。 さらに30分ほど登ると七ツ石山の巻き道になった。 小屋への道を登ってみたが、遠そうなので途中で引き返した。巻き道の途中に水場があった。


EOS IXE,EF28-70/2.8L(53mm),F5.6AE(1/90),RX,970713

12:30 ブナ坂に着く。道標の近くに腰を下ろして小雨の中パンをかじった。 ブナ坂から少し登ると、気持ちの良い尾根道に出た。 南方向の木の間から、雲海に山々が見え隠れしている。 道の横には野原が広がっていて、晴れていたらしばらく寝転んで雲を見るのに良さそうな場所だ。 ヘリポートを過ぎて奥多摩小屋の手前、コースからちょっと下ったところに水場があった。 水を汲んで喉を潤す。今回水には不自由しそうにない。 小屋を過ぎると急に傾斜がきつくなった。坂を2つ登り富田新道と合流するあたりが小雲取山だ。 霧の向うに山頂の避難小屋が見える。 ここから雲取山の山頂まではもうすぐだ。稜線の左下にお花畑が広がっている。

避難小屋の前に荷物を置く。ここからすぐ北に山頂があった。 山頂には外人さんが2人いた。マウンテンバイクで来たようだが、どうやってかついで来たのだろう? ここは埼玉県のようだ。 すっかり霧(というか雲)に包まれてしまって展望は無かった。 小屋まで戻り屋根の下で休む。 ここから東側が東京都、北東が埼玉県、南東が山梨県だ。 踵に出来たマメはいつの間にかつぶれていた。 避難小屋を覗いてみたが、思ったよりきれいで広い。近くにトイレもある。 水場が無いのが難点だが、今度シュラフを持って泊まってみたいと思った。


EOS IXE,EF28-70/2.8L(28mm),F8AE(1/90),RX,970713

14:15 下山開始。バスは東日原 18:14 なので、最短コースの富田新道を下ることにする。 コースタイムは若干時間オーバーしているが、下りなので大丈夫だろう。 小雲取山の分岐点まで戻り、 マウンテンバイクのタイヤの跡と別れて富田新道に向かう。 ブナの巨木の林の中は苔が密生している。 倒木も緑色に覆われて朽ち果ててゆく。 霧の中、太古の森を歩いている感じだ。 奥多摩というと植林された杉林のイメージしかなかったが、これほどのブナの原生林があるとは思わなかった。 全人未踏の山奥にはきっともっとすごい場所があるに違いない。


EOS IXE,EF28-70/2.8L(70mm),F2.8(1/20),RX,970713

林の中をどんどん下る。 ところどころ木の皮が剥がれているのは熊の仕業かもしれない。 山頂からここまで人の気配は全く無かった。おそらくこの先もそうだろう。 これから登るにはもう遅い時間だ。 コースはジグザグに急降下している。登りに使うにはあまりにも長く苦しいだろう。 天気は回復してきているようで、うっすらと日射しが差し込んだりしている。 湿気のせいか汗は乾かない。やがて水音が聞こえ始め、唐松橋に出た。 ここで川が合流しているようで、吊り橋の上から両側に小さな滝が見えた。 昨日の雨のせいか水量が多い。 橋を渡ると道は登りになった。ここまで来ての登りはちょっと辛い。 気力で登り切るとそこは林道だった。


EOS IXE,EF28-70/2.8L(28mm),F2.8AE(1/15),RX,970713

ひと息ついて 16:00 まで休む。ここから長い林道歩きだ。 いつの間にか日が射して青空まで見えるようになった。 歩いていると、途中、ハイカーと思われる3人が車で帰り支度をしていた。 川沿いの林道の左側は急な崖になっていて、崖崩れ防止の金網の下はもちろん、途中にまで落石が溜っていた。 これは危険だ。 湧き水は岩板を流れ落ち、大きなものは滝になっている。 落石止めの堤防の間からも水が流れている。 だいぶ下りてやってる様子のない鉱山の横を通った。 八丁橋から山に向かう道は落石でずいぶん前から通行止めになっているようだ。

林道の終点は、日原鍾乳洞への分岐点だった。 鍾乳洞側は落石で今日から通行止めになっていて、見張りのおじさんが立っていた。 バス停は右側の道と聞いて橋を渡る。ここから東日原までは舗装道である。 途中の交番の前の地図に7月5日 pm1:00 などと書いた札が貼ってある。 よく見ると熊が出た地点に印をつけてあるらしい。7月に入ってからもう3ヶ所も印があった。 バス停に着くと次のバスは 19:02 だった。平日と休日はバスの時間が違うのだ。 1時間以上もある。駅まで歩こうかと思ったが、2時間ほどの距離で途中でバスに抜かれそうなのでやめた。 こんなことならもっとゆっくり下りればよかった。 荷物を置いて戻って、共同売店で1つだけ残っていたパンとスコーンを買った。 酒屋でビールを買って1人で宴会だ(ちょっと淋しい)。 登山者が2グループ下りて来たが、バス停を通り越して行ってしまった。 車で来ているのだろう。

ビールを飲み干してもまだ30分以上ある。犬が吠える。 ヒグラシが鳴いていた。あたりは暗くなり街灯が灯ると、だんだん寒くなってきた。 18:50 バス到着。運転手の他に車掌さんがいる。「ご苦労さま」と声をかけてくれた運転手はのんびりバスの掃除を始めた。 19:02 定刻通りバス発車。貸切り状態である。 いつの間にかうとうとしていたが、終点の奥多摩駅までずっと3人だった。