休暇村の網張キャンプ場では昼から宴会している若者で賑やかだったので、 相の沢キャンプ場にテントを張ることにした。4〜5台の車が停まっていてテ ントを張っていたがこちらはとても静かだ。
夜は6時を過ぎると急に暗くなった。気温がどんどん下がって8時過ぎに は8°Cを下回るほどだった。食べて飲んで9時過ぎにテントに入る。心配し ていた寒さはテントでシュラフにくるまっているとそれほどでもない。
翌朝目を覚ますとテントの外が明るい。時計を見ると既に5時過ぎだった。 仕度を整えて出発。夜ほど冷え込んでいないので安心した。車道を20分歩い て登山口の御神沢駐車場に着いた。5時30分に登山口を出発。展望のない樹 林帯をどんどん高度をかせいで汗をかいた。しばらく登ると雲の中に入ったの か寒くなってきた。霧の中に浮かび上がる紅葉がきれいだ。
2時間ほど登ると尾根道はいきなり展望が開けた。岩の上で小休止にする。 動いていないとやはり寒い。 谷を挟んで向かい側の山はちょうど全山紅葉で雲の上に鮮やかだった。 これから先は這松と岩ばかりだ。傾斜は急になってくるが紅葉の山を見ながら の登りはそれほど苦しさは感じられない。
黒倉山への道と合流するあたりに来てやっと山頂が見えた。ずっと単調な 登りだったがここから不動平まで一気に下る。避難小屋と立派なトイレがあっ た。
不動平から山頂までは富士山を思わせるような火山灰のザレ地だ。かなり 登りにくい急坂を登り切ると、外輪山のへりに辿り着いた。稜線に沿って石仏 が続いている。岩手山は信仰の山だと改めて感じた。
山頂の薬師岳に着いたのは10時ちょっと前だった。コースタイムよりも だいぶ早い。キャンプ場との標高差は 1400m 以上だ。風が強くて寒いが雲の 上なので視界は最高だ。鳥海山、焼山、八甲田、岩木山が遥か雲の上にその頂 を覗かせている。
持ってきたビールを飲んで山頂に15分ほどいた後、下りにかかる。まる で富士山の砂走りのようにいいペースで不動平まで降りた。下りのコースは登 りと全く同じで、不動平から一度登った後は下るばかりなので気が楽だ。眺め も良い道を調子良く下っていく。だんだん雲が昇ってきているようだ。樹林帯 への入り口で道を間違えたがすぐに引き返して事無きを得た。
長い樹林帯を過ぎて登山口に着いたのは12時過ぎだった。